令和6年度 白庭病院 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 3 13 10 23 45 127 258 686 713 216
<年齢区分分析>
当院を退院された患者さん(総数2,094人)の年齢構成を見ると、60歳以上の患者さんが1,873人となり、
全体の89.4%を占めています。
特に、70歳代(686人)と80歳代(713人)の患者さんが突出し、この2つの年代だけで全体の約3分の2(66.8%)に達しています。
90歳以上の患者さんも216人と多く、入院診療が主に後期高齢者の患者さんを中心に展開されていることが明確にわかります。

<患者数傾向>
患者数は50歳代から顕著に増加し始め、70歳代、80歳代でピークを迎える傾向にあります。
これは、加齢に伴う生活習慣病の悪化や、肺炎、骨折、心不全といった急性疾患の発症リスクがこの年代で急増することを反映しています。
一方で、小児科を標榜していないため20歳未満の患者さんは極めて少なく、20歳代から40歳代も比較的少数にとどまっています。
当院の入院医療資源が、主に高齢の患者さんを対象とした疾患に注がれていることが示唆されます。

<生駒市の人口現状>
当院が位置する生駒市の高齢化率(65歳以上人口の割合)は、年々上昇傾向にあります。
直近のデータ(2024年4月時点)では29.6%に達しており、市民の約3.4人に1人が65歳以上という状況です。
全国平均と比較すると、生駒市はこれまで高齢化の進展がやや緩やかでしたが、今後は全国を上回るペースで高齢化が進む
と予測されています。当院の入院患者さんの年齢構成は、こうした地域の人口動態を色濃く反映したものとなっています。

<当院の課題>
①高齢者医療への特化と総合診療能力の強化
入院患者さんの大多数が高齢者であることから、複数の疾患(併存疾患)や
認知機能の低下、フレイル(虚弱)などを抱える患者さんへの包括的・全人的な医療提供体制の強化が急務です。
専門分野の垣根を越えた、総合診療能力の向上が求められます。

②入退院支援と地域連携の深化
高齢の患者さんは、退院後に医療や介護の継続的なサポートを必要とするケースが少なくありません。
地域の回復期病院、介護施設、在宅医療を担うクリニックや訪問看護ステーションとの連携をさらに密にし、患者さんが退院後も
安心して地域で生活を続けられるための、切れ目のない支援体制を構築することが最大の課題です。

③救急医療体制の整備
地域の高齢化が進むにつれ、肺炎や骨折、脳卒中といった高齢者救急の需要はさらに増大することが予測されます。
限られた医療資源の中で、高齢の患者さんの救急搬送を適切に受け入れ、迅速な治療につなげる体制の維持・強化が不可欠です。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 58 31.22 20.78 13.79 89.45
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 46 21.43 13.66 8.7 83.67
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 43 19.28 16.40 6.98 73.49
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 43 2.09 2.57 2.33 73.49
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 14 9.50 9.08 0 81.71
<症例傾向>
当科の入院診療で最も多い疾患は「誤嚥性肺炎」で、次いで「腎臓又は尿路の感染症」「肺炎等」と、
高齢の患者さんに多く見られる感染症が上位を占めています。
また、4位の「小腸大腸の良性疾患」は、主に大腸ポリープなどを内視鏡で切除する治療が該当し、
消化器領域の検査・治療も当科の重要な役割となっています。

<指標分析>
「誤嚥性肺炎」の平均在院日数が31.22日と長くなっているのは、治療に時間を要することに加え、食事摂取や嚥下機能の
回復に向けたリハビリテーションが必要となるためです。
退院後も療養が必要となるケースが多いため、転院率も13.79%と比較的高くなっています。
一方で、「小腸大腸の良性疾患」の在院日数は2.09日と極めて短く、これは短期滞在での内視鏡治療が安全かつ効率的に
行われていることを示しています。このように、長期的な加療が必要な疾患と、短期で集中治療を行う疾患の両方に対応しているのが当科の特徴です。

<患者傾向>
「誤嚥性肺炎」の患者さんの平均年齢は89.45歳、「腎臓又は尿路の感染症」は83.67歳と、
入院患者さんの中心は後期高齢者の方々です。加齢に伴い、免疫力や身体機能が低下した患者さんを、
総合的な内科診療でサポートしていることがうかがえます。

<今後の取り組み>
今後も、地域の高齢の患者さんが罹患しやすい肺炎や尿路感染症といった急性期疾患に対し、
迅速かつ適切な医療を提供してまいります。特に、入院が長期化しやすい誤嚥性肺炎の患者さんに対しては、早期から
リハビリテーションや栄養サポート、退院支援を多職種で連携して行い、一日も早い回復と在宅復帰を目指します。
また、消化器疾患に対する内視鏡を用いた低侵襲な診断・治療も引き続き推進し、地域の皆さんの健康維持に貢献してまいります。
内視鏡による検査・治療といった専門的な医療にも対応できる体制を整え、地域の医療ニーズに応えています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) 41 2.46 4.54 0 71.80
060335xx0200xx 胆嚢炎等 13 3.15 7.05 0 61.00
060150xx02xxxx 虫垂炎 4 6.75 9.49 0 75.50
060150xx03xxxx 虫垂炎 4 3.75 5.32 0 54.75
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 4 3.00 5.99 0 68.25
<症例傾向>
当科で最も多い症例は「鼠径ヘルニア」で、年間41件の手術を行っております。
次いで「胆嚢炎等」や「虫垂炎」といった、腹部の急性疾患が続きます。
症例の上位は、外科で一般的に見られる代表的な疾患で占められています。

<指標分析>
「鼠径ヘルニア」や「胆嚢疾患」では、平均在院日数が2~3日と、短期滞在での手術が基本となっていることがわかります。
これは、低侵襲である腹腔鏡下手術を積極的に導入し、患者さんの早期回復・早期退院を実現できている結果です。
「虫垂炎」で在院日数が異なる2つのグループがあるのは、症状が軽微な症例と、腹膜炎などを併発した重症例との違いによるものです。
また、上位5つの疾患すべてにおいて転院率が0%であり、当科で責任をもって治療を完結できていることを示しています。

<患者傾向>
最も多い「鼠径ヘルニア」の患者さんの平均年齢は71.8歳であり、高齢の患者さんが中心となっています。
胆嚢疾患や重症の虫垂炎においても、60歳~70歳代の患者さんが多く、当科が地域の高齢の患者さんの
外科的治療を多く担っていることがうかがえます。

<今後の取り組み>
今後も、腹腔鏡下手術を中心とした低侵襲治療を推進し、患者さんの負担が少なく、かつ安全な手術の提供に努めてまいります。
特に、症例の多くを占める高齢の患者さんに対しては、手術前から術後まで、合併症予防やリハビリテーションを含めた包括的な
周術期管理を徹底し、より安心して治療を受けていただける体制を強化してまいります。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 169 19.76 18.76 0 70.47
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 156 32.60 21.38 0 76.3
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 153 18.95 15.41 0.65 73.84
160800xx02xxxx 股関節・大腿近位の骨折 56 43.57 25.29 32.14 82.96
070350xx02xxxx 椎間板変性、ヘルニア 35 13.03 13.83 0 63.94
<症例傾向>
当科では、「股関節・膝関節の変性疾患」と「脊柱管狭窄症」が症例数の上位3つを占めており、
人工関節置換術や脊椎手術といった、専門性の高い手術治療を数多く行っています。
また、高齢化を背景に増加している「股関節・大腿近位の骨折」に対する手術治療も、重要な役割を担っています。

<指標分析>
人工関節置換術や脊椎手術の平均在院日数は、手術後のリハビリテーション期間も含め20日前後となっております。
これは、院内で集中的なリハビリテーションを行い、患者さんが安心して在宅復帰できる機能回復を目指したクリニカルパスを運用している結果です。
一方で、「股関節・大腿近位の骨折」の患者さんは在院日数が長く、転院率が32.14%と高くなっています。
これは、急性期病院での治療後に、回復期リハビリテーション病院へ転院して、より長期的なリハビリテーションを継続しているためです。

<患者傾向>
当科の入院患者さんの平均年齢は、すべての主要疾患で70歳を超えており、
特に「股関節・大腿近位の骨折」では82.96歳と、後期高齢者の患者さんが中心です。
加齢に伴う変性疾患や、骨粗鬆症を背景とした脆弱性骨折の治療が、当科の診療の大部分を占めていることがわかります。

<今後の取り組み>
今後も、人工関節手術や脊椎外科などの専門分野において、質の高い医療を提供し続けてまいります。
特に、入院患者さんの多くを占める高齢の患者さんに対しては、手術治療だけでなく、術後のリハビリテーション、
合併症予防、そして円滑な退院支援が不可欠です。地域の回復期病院や介護施設との連携をさらに密にし、
患者さん一人ひとりが住み慣れた地域で生活を継続できるよう、急性期病院としての役割をしっかりと果たしてまいります。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060xx99x40x 脳梗塞 34 20.41 16.89 26.47 76.26
010060xx99x20x 脳梗塞 27 21.93 16.94 29.63 76.59
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 19 31.42 18.68 63.16 78.58
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 17 21.59 9.83 17.65 81.82
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 17 24.53 7.99 29.41 79.35
<症例傾向>
当科の入院で最も多い疾患は「脳梗塞」で、脳血管障害の急性期治療が診療の中心となっています。
次いで、高齢者の転倒などを原因とする「頭蓋・頭蓋内損傷」、脳出血などの「非外傷性頭蓋内血腫」が多く、
脳卒中や頭部外傷といった、地域の救急医療の中核を担う疾患が上位を占めています。

<指標分析>
当院の平均在院日数は、「脳梗塞」や「非外傷性頭蓋内血腫」において全国平均よりも大幅に
短縮できております。これは、発症後早期の急性期治療と薬物療法、リハビリテーションを効率的に実施できていることを示しています。
一方で、転院率が高い傾向にあります。これは、急性期病院での治療を終えた後、機能回復のために専門的なリハビリテーションが
必要となる患者さんが多く、地域の回復期リハビリテーション病院へ円滑に転院していただくための連携パスが確立されているためです。

<患者傾向>
入院患者さんの平均年齢は、すべての主要疾患で75歳を超えており、特に「頭蓋・頭蓋内損傷」では80歳を超えています。
このことから、加齢に伴う脳血管障害や、転倒による頭部外傷など、高齢の患者さんの救急疾患が大半を占めていることが特徴です。

<今後の取り組み>
今後も、地域の救急医療体制の一翼を担う急性期病院として、一分一秒を争う脳神経外科疾患の患者さんを24時間体制で
受け入れ、迅速かつ的確な診断・治療を提供してまいります。
また、急性期治療後の患者さんの後遺症を最小限にし、社会復帰を支援するため、地域の回復期病院や介護施設との連携を
さらに強化し、切れ目のない医療の提供に努めてまいります。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 303 2.01 2.49 0 76.83
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 58 5.83 4.29 0 79.74
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 10 8.1 5.47 0 72.40
020240xx97xxx0 硝子体疾患 4 4.25 4.83 0 83.00
020200xx9700xx 黄斑、後極変性 3 7.67 5.58 0 75.33
<症例傾向>
当科の入院診療において最も多いのは、「白内障、水晶体の疾患」に対する手術治療であり、全体の約9割を占めています。
これは、加齢とともに増加する白内障に対して、地域の治療ニーズに応えている結果です。
その他、加齢黄斑変性や硝子体疾患といった、網膜硝子体疾患の治療も行っています。

<指標分析>
白内障手術の多くは、平均在院日数が2.01日という短期滞在手術で行われています。
これは、手術手技の向上と、標準化されたクリニカルパスの適切な運用により、患者さんの身体的負担を軽減し、
早期の社会復帰を可能にしていることを示しています。
一部、在院日数が長い症例もありますが、これは全身疾患を合併している患者さんや、難易度の高い症例に慎重に対応しているためです。
また、すべての疾患で転院率が0%となっており、当科で治療が完結し、患者さんが直接ご自宅へ退院されていることがわかります。

<患者傾向>
入院患者さんの平均年齢は、すべての疾患で70歳を超えており、特に白内障手術を受けられる患者さんの中心は70歳代後半です。
硝子体疾患では平均83歳と、後期高齢者の患者さんが大半を占めています。
当科が、地域の高齢の患者さんの視機能の維持・改善に大きく貢献していることがうかがえます。

<今後の取り組み>
今後も、安全かつ質の高い白内障手術を安定的に提供していくことを第一に努めてまいります。
多焦点眼内レンズなどの先進的な治療選択肢についても、患者さんのニーズに応じて提供できる体制を整えていきます。
また、増加傾向にある加齢黄斑変性などの網膜疾患に対しても、専門的な診断・治療を充実させ、地域の高齢の皆さんの
「見える喜び」を生涯にわたってサポートできるよう、より一層尽力してまいります。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 37 2.00 2.45 0 70.95
110080xx99000x 前立腺の悪性腫瘍 1 1.00 6.74 0 73.00
11013xxx02xxxx 下部尿路疾患 1 2.00 5.49 0 85.00
110200xx99xxxx 前立腺肥大症等 1 2.00 5.59 0 89.00
<症例傾向>
当科の入院診療は、「前立腺の悪性腫瘍」、すなわち前立腺がんの検査・診断に関するものが大半を占めています。
その他、前立腺肥大症や下部尿路疾患など、泌尿器科領域の幅広い疾患に対応しておりますが、入院においては
前立腺がんの早期発見が中心的な役割となっています。

<指標分析>
前立腺がんの患者さんの平均在院日数が1~2日間と極めて短いのは、主に確定診断に不可欠な
「前立腺針生検(バイオプシー)」のための検査入院であるためです。
当院では、患者さんの身体的負担を最小限に抑え、かつ安全に検査を受けていただけるよう、
短期滞在でのクリニカルパスを確立しています。
転院率が0%であることも、検査入院が中心であることを示しており、診断後は外来にて結果を説明し、
患者さんとともに最適な治療方針を決定していきます。

<患者傾向>
前立腺がんの検査を受けられる患者さんの平均年齢は70歳代前半であり、疾患の好発年齢と一致しています。
前立腺肥大症など、その他の疾患では80歳代後半の患者さんもおられ、地域の高齢の男性の泌尿器に関する
お悩みに幅広く対応していることがわかります。

<今後の取り組み>
今後も、前立腺がんの早期発見に不可欠な、安全で精度の高い検査体制を維持・向上させてまいります。
診断後の治療については、手術、放射線治療、ホルモン療法など、多様な選択肢の中から患者さん
一人ひとりの病状やライフスタイルに最も適した治療法を提案できるよう、他科とも密に連携し、包括的ながん診療を
提供してまいります。
また、増加する前立腺肥大症などの良性疾患についても、外来診療や薬物療法をさらに充実させていきます。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 0 0 0 0 5 0 1 8
大腸癌 0 0 0 0 3 1 1 8
乳癌 0 0 0 0 0 0 1 8
肺癌 0 0 0 0 1 0 1 8
肝癌 0 0 0 0 0 0 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
5大癌について退院患者数を初発(UICC病期分類別)と再発にわけて集計しています。
UICC病期分類とは、国際対がん連合(UICC)によって定められた、原発巣の大きさと進展度・所属リンパ節への転移状況・遠隔転移の
有無の3つの要素によって各癌をⅠ~Ⅳ期に分類するものです。
不明はなんらかの事情で精密検査を実施していなかったため分類不能でした。
本項における「初発」とは当院において、当該腫瘍の診断、診断と初回治療、あるいは初回治療を実施した場合のことを、
「再発」とは医療機関に関わらず初回治療が完了した後、当院にて患者を診察した場合や、治療がんの病状が治まった後に
局所再発・再燃又は新たな遠隔をきたした場合のことを言います。
病期分類基準「1」とはUICC病期分類を指し、版数はUICC病期分類が第8版まであり、当院は第7版にてDPC調査報告を行ったことを
示しております。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 14 7.43 48.64
中等症 43 20.15 82.74
重症 4 27.5 86.00
超重症 0 0 0
不明 0 0 0
患者数は中等症(重症度が1または2)の方の割合が多く、重症の患者様も昨年より増加しております。
全体的な疾患分類として。肺炎は当院内科で比較的多い疾患となります。
高齢の患者様が多数を占めており、症状の経過観察を行いながら、必要に応じて適切な処置やリハビリテーション等を行っております。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 83 27.47 79.23 31.58
その他 12 24.83 76.5 8.42
脳梗塞は、発症して早期に入院される患者様が多く、中でも発症3日以内の急性期脳梗塞での入院が大多数を占めます。
脳梗塞後は、患者様の状況・症状等に応じて当院でのリハビリテーションを行いますが、さらに集中的にリハビリテーションを行い、
在宅復帰を目指すために回復期病院への転院もしております。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 42 0.29 1.10 0 73.21
K6181 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(四肢に設置した場合) 8 36.63 32.25 25.00 85.88
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 6 5.50 13.83 0 86.17
K654 内視鏡的消化管止血術 5 6.00 17.60 20.00 79.80
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 5 32.80 50.40 60.00 84.40
<症例傾向>
当科で最も多く実施している手技は、「内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術」です。
これは、大腸がんの予防と早期治療に不可欠なものであり、地域の消化器診療の中核を担っています。
その他、長期の点滴治療や栄養管理のための「中心静脈注射用植込型カテーテル設置」や「胃瘻造設術」、
緊急を要する「消化管止血術」や「胆道ステント留置術」など、専門的で多岐にわたる内視鏡関連手技を行っています。

<指標分析>
「大腸ポリープ切除術」は、術前日数が0.29日、術後日数が1.1日と、クリニカルパスに基づいた短期滞在での治療が確立されています。
一方、「中心静脈カテーテル設置」や「胃瘻造設術」では、術前・術後ともに日数が長くなっています。
これは、手技そのものが長期入院の理由ではなく、癌治療や脳血管障害など、長期にわたる原疾患の治療経過の中で、
必要に応じてこれらの支持療法(治療を支えるための処置)が実施されているためです。

<患者傾向と転院率>
手技を受けられる患者さんの中心は70歳代~80歳代の高齢の方々です。
特に、胃瘻造設術や胆道ステント留置術など、侵襲の大きな処置を必要とする患者さんの平均年齢は85歳前後と非常に高くなっています。
転院率を見ると、短期滞在の大腸ポリープ切除術では0%ですが、「胃瘻造設術」では60%、「中心静脈カテーテル設置」では
25%と高くなっています。これは、急性期病院での治療後に、ご自宅へ直接退院することが困難な患者さんが多く、療養型病院や
施設へ転院し、継続的なケアを受けるためのものです。

<今後の取り組み>
今後も、大腸ポリープ切除術をはじめとする低侵襲な内視鏡治療を安全かつ安定的に提供してまいります。
また、胃瘻造設などの支持療法については、単に手技を行うだけでなく、その必要性や倫理的な側面についても、
多職種チームで十分に検討し、患者さんやご家族との話し合い(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)を重視する
プロセスを徹底します。地域の療養型病院や在宅医療機関との連携をさらに深め、患者さん一人ひとりの状態と人生観に
寄り添った、切れ目のない医療を提供できるよう努めてまいります。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 鼠径ヘルニア手術 38 0.05 1.42 0 72.66
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 20 0 2.10 0 61.70
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 4 0 2.75 0 54.75
K718-22 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴うもの) 4 0.75 5.00 0 75.50
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 3 0 1.33 0 61.00
<症例傾向>
当科で最も多く実施している手術は「鼠径ヘルニア手術」で、次いで「腹腔鏡下胆嚢摘出術」、「腹腔鏡下虫垂切除術」となっております。
これらは外科の代表的な手術であり、そのほとんどを身体的負担の少ない腹腔鏡下で行っているのが当科の大きな特徴です。

<指標分析>
すべての手術において、術前日数がほぼ0日となっており、手術当日の入院を基本とした効率的な運用がなされています。
また、術後日数もヘルニア手術で約1.5日、胆嚢摘出術で約2日、虫垂切除術で3~5日と、腹腔鏡下手術の利点を
最大限に活かした早期回復・早期退院が実現できています。
虫垂切除術で術後日数が2種類に分かれているのは、軽症例と、膿瘍(うみ)を形成した重症例との違いによるものです。

<患者傾向と転院率>
手術を受けられる患者さんの中心は60歳代~70歳代の高齢の方々です。特に鼠径ヘルニアや、重症化した虫垂炎の患者さんの
平均年齢は70歳代半ばとなっています。
高齢の患者さんが多いにもかかわらず、すべての手術で転院率が0%であることは、手術後の経過が良好で、すべての患者さんが
直接ご自宅へ退院できていることを示しており、当科の質の高い周術期管理体制を反映しています。

<今後の取り組み>
今後も、腹腔鏡下手術を中心とした低侵襲治療をさらに推進し、患者さんの身体的負担の軽減と早期の社会復帰を支援してまいります。
高齢の患者さんが安心して手術を受けられるよう、術前のリスク評価から術後の合併症予防まで、多職種で連携した
周術期管理を一層強化していきます。また、鼠径ヘルニア手術などでは、患者さんの状態に応じて日帰り手術(デイサージェリー)の導入も
視野に入れ、より利便性の高い医療の提供を目指します。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術 331 1.41 23.71 0 73.32
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓形成) 164 1.91 17.48 1.22 74.38
K0461 骨折観血的手術(大腿) 51 3.14 32.84 19.61 78.16
K1342 椎間板摘出術(後方摘出術) 36 1.92 10.17 0 63.64
K0811 人工骨頭挿入術(股) 30 6.50 42.37 40.00 82.23
<症例傾向>
当科で最も多く実施している手術は「人工関節置換術」で、股関節や膝関節の変性疾患に対する治療が中心です。
次いで、「脊椎固定術」や「椎間板摘出術」といった脊椎(せぼね)の手術も数多く行っています。
また、高齢者に多い大腿骨の骨折に対する「骨折観血的手術」や「人工骨頭挿入術」といった外傷手術も、当科の重要な役割を担っています。

<指標分析>
人工関節置換術や脊椎手術などの予定手術では、術前日数が1~2日と、計画的な入院・手術体制が整っています。
術後の日数は10日~24日程度で、これは手術後の回復だけでなく、院内での集中的なリハビリテーションをしっかりと行った上で
ご自宅へ退院していただくための期間です。
一方、大腿骨骨折などの緊急手術では、術前の検査や全身状態の安定化のために術前日数が少し長くなる傾向があります。
術後日数も30日~40日と長く、高齢の患者さんが再び歩行能力を獲得するために、手厚いリハビリテーションが必要であることを示しています。

<患者傾向と転院率>
手術を受けられる患者さんの平均年齢は、すべての主要手術で70歳代~80歳代と、高齢の方が中心です。
特に、骨折で緊急手術となる患者さんは平均80歳を超えており、非常にご高齢です。
転院率を見ると、予定手術である人工関節置換術や椎間板摘出術では0%となっており、院内での治療・リハビリテーションを経て、
すべての患者さんが直接ご自宅へ退院されています。
それに対し、骨折手術の患者さんでは転院率が高く(20%~40%)、急性期病院での治療後に、地域の回復期リハビリテーション
病院へ転院し、さらなるリハビリテーションを継続していることを示しています。

<今後の取り組み>
今後も、人工関節や脊椎外科といった専門性の高い分野で、安全かつ質の高い手術を提供し続けてまいります。
高齢の患者さんが安心して手術を受けられるよう、多職種が連携して合併症を予防する周術期管理を徹底します。
特に、骨折で入院される患者さんに対しては、地域の回復期病院との連携をさらに強化し、急性期から回復期、
そして在宅まで、切れ目のない医療を提供することで、一人でも多くの患者さんが元の生活を取り戻せるよう支援してまいります。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 17 4.24 18.47 23.53 83.29
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内) 2 0.50 51.00 100 76.00
K190-5 重症痙性麻痺治療薬髄腔内持続注入用植込型ポンプ薬剤再充填 2 0.50 15.00 0 45.00
K386 気管切開術 2 32.50 15.50 50.00 90.00
K1642 頭蓋内血腫除去術(開頭)(硬膜下) 1 0 64.00 100 89.00
<症例傾向>
当科で最も多く行われている手術は、「慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術」です。
これは高齢者の軽微な頭部打撲後などに発症することが多く、地域の高齢化を反映した症例と言えます。
その他、重症な頭部外傷や脳出血に対する「開頭血腫除去術」や、長期にわたる呼吸管理が必要な患者さんへの
「気管切開術」など、重篤な状態の患者さんに対する救命、機能維持のための手術も行っています。

<指標分析>
「慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術」では、術後日数が18日程度となっています。
手術自体は比較的短時間ですが、ご高齢の患者さんが多いため、術後のせん妄や合併症を予防し、リハビリテーションによって
安全に歩行できる状態まで回復を確認してから退院していただくため、一定の期間を要します。
「開頭血腫除去術」や「気管切開術」では、術前・術後ともに日数が長くなる傾向があります。
これは、これらの手技が救命救急の一環として行われるため、手技の前から原疾患の集中治療が行われており、
手技後も長期にわたる厳重な全身管理とリハビリテーションが必要となるためです。

<患者傾向と転院率>
痙性麻痺の治療を除き、手術を受けられる患者さんの平均年齢は75歳~90歳と極めて高く、当科が超高齢社会における
脳神経外科救急医療の最後の砦としての役割を担っていることを示しています。
転院率は、「開頭血腫除去術」で100%、「慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術」で23.5%と非常に高くなっています。
これは、救命後の患者さんに麻痺などの後遺症が残ることが多く、急性期病院での治療後に、専門的なリハビリテーションを
目的として回復期病院へ転院されるためです。

<今後の取り組み>
今後も、地域の脳神経外科救急医療の最後の砦として、重篤な患者さんを24時間体制で受け入れ、最善の治療を提供してまいります。
特に、手術後の患者さんの多くが回復期リハビリテーションを必要とすることから、地域の回復期病院との連携をさらに密にし、情報共有や
合同カンファレンスを通じて、急性期から回復期、そして在宅や施設での生活まで、一貫性のある質の高い医療・ケアが提供される体制を
強化してまいります。また、患者さんやご家族への丁寧な病状説明と、意思決定支援にも一層力を入れていきます。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 358 0.25 1.39 0 77.24
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 15 0.93 6.80 0 72.67
K2821イ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(縫着レンズ挿入) 3 0 0.67 0 84.67
K279 硝子体切除術 2 1.00 2.00 0 87.00
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 2 1.00 2.500 0 79.00
<症例傾向>
当科で行われる手術で最も多いのは、白内障に対する「水晶体再建術」であり、年間350件以上実施しています。
これは、地域の高齢の患者さんの視機能回復に対する中心的役割を担っていることを示します。
次いで、網膜剥離や黄斑円孔など、より専門的な治療を要する網膜・硝子体疾患に対する「硝子体手術」も行っております。

<指標分析>
「水晶体再建術(白内障手術)」は、術前日数がほぼ0日、術後日数が約1.4日と、手術当日の入院、翌日または
翌々日の退院という短期滞在手術のクリニカルパスが確立されています。これにより、患者さんの負担を最小限に抑えた、
安全で効率的な医療を提供できています。
「硝子体手術」は、より複雑な手技を要するため、術後の入院期間が1週間程度と長くなりますが、こちらも術前日数は約1日と、
迅速な手術体制が整っています。

<患者傾向と転院率>
手術を受けられる患者さんの平均年齢は、白内障手術で77歳、硝子体手術でも70歳代~80歳代と、加齢に伴う眼疾患の治療が
中心であることが明確です。
転院率はすべての手術で0%であり、手術を受けられた患者さんは全員、当院から直接ご自宅へ退院されています。
術後の経過観察は、外来にて責任をもって継続しています。

<今後の取り組み>
今後も、安全かつ質の高い白内障手術を安定的に提供していくことを基本とし、患者さんの満足度向上に努めてまいります。
特に、個々のライフスタイルに合わせた見え方を提供できるよう、乱視矯正レンズや多焦点眼内レンズといった付加価値の高い
選択肢についても、積極的に情報提供と技術導入を進めていきます。
また、失明につながる可能性のある網膜硝子体疾患に対しても、最新の知識と技術に基づいた専門的医療を提供し、
地域の皆さんの大切な視機能を守るために、より一層尽力してまいります。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 0 0
異なる 0 0
180010 敗血症 同一 2 0.1
異なる 3 0.14
180035 その他の真菌感染症 同一 0 0
異なる 0 0
180040 手術・処置等の合併症 同一 6 0.29
異なる 0 0
播種性血管内凝固症候群(DIC)
 様々な重症の基礎疾患のために過剰な血液凝固反応活性化が生ずるため生体内の抗血栓性の制御能が十分でなくなり、
全身の細小血管内で微小血栓が多発して臓器不全、出血傾向のみられる予後不良の病気です。

・敗血症
 感染の徴候が存在する全身性炎症反応症候群(頻呼吸、頻脈、体温上昇または下降、白血球増加または減少のうち
 すくなくとも2つの変化を呈す)と 定義されます。白血球から分泌される高サイトカイン血症により、ショック、播種性血管内
 凝固症候群(DIC)、多臓器不全(MOF)に陥ります。

・手術や術後の合併症
 整形外科では術後創部感染、人工関節のゆるみ・脱臼・感染・破損。脳神経外科では水頭症によるシャント機能不全によるもの。
 その他、中心静脈カテーテル感染症などでした。

 当院では上記の合併症を予防・回避できるよう、医師・看護師、コメディカルスタッフが協力し改善に努めています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
652
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
638
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
97.85
<肺血栓塞栓症予防対策実施率>
当院では、肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが「中」以上の手術を受ける患者さまに対し、
高い割合で予防対策を実施しています。

<予防対策の重要性>
肺血栓塞栓症は、院内死亡率が14%と報告されている重篤な合併症です。
40%以上が発症1時間以内の突然死であるため、予防対策が極めて重要となります。
実施している予防対策

主な予防対策として以下を実施しています:
弾性ストッキングの着用
間歇的空気圧迫装置の使用
抗凝固療法
これらの対策は、リスクレベルに応じて単独または併用で行われます。

<当院の実施率>
2023年の予防対策実施率は96.25%となっており、高い水準を維持しています。
この数値は、当院が患者安全を最優先に考え、ガイドラインに沿った診療プロセスを確立
していることを示しています。

<今後の取り組み>
今後も継続的に実施率を監視し、必要に応じて改善を行うことで、さらなる医療の質向上
と患者さまの安全確保に努めてまいります。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 168
血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
112
血液培養2セット実施率 66.67
<広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率>
当院では、抗菌薬の適正使用を推進するため、広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養
実施率を重要な指標として監視しています。

<指標の意義>
広域スペクトル抗菌薬の不適切な使用は、耐性菌の発生や蔓延の原因となる可能性があります。
そのため、抗菌薬投与前に適切な検体採取と培養検査を行うことが、抗菌薬適正使用の鍵となります。

<当院の取り組み>
当院では以下の取り組みを行っています:
①ICT(感染対策チーム)による抗菌薬使用患者のモニタリング
②抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)の実施
③医師や看護師向けの研修会の開催

<今後の目標>
今後も以下の点に注力し、実施率のさらなる向上を目指します:
①抗菌薬使用前の培養検査の重要性に関する継続的な教育
②電子カルテシステムを活用した培養オーダーの促進
③ASPチームによる介入の強化

適切な細菌培養検査の実施は、耐性菌の発生を抑制し、より効果的な感染症治療につながります。
当院は今後も継続的にこの指標をモニタリングし、感染症診療の質向上に努めてまいります
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
106
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
80
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
75.47
<広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率>
当院では、抗菌薬の適正使用を推進するため、広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養
実施率を重要な指標として監視しています。

<指標の意義>
広域スペクトル抗菌薬の不適切な使用は、耐性菌の発生や蔓延の原因となる可能性があります。
そのため、抗菌薬投与前に適切な検体採取と培養検査を行うことが、抗菌薬適正使用の鍵となります。

<当院の取り組み>
当院では以下の取り組みを行っています:
①ICT(感染対策チーム)による抗菌薬使用患者のモニタリング
②抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)の実施
③医師や看護師向けの研修会の開催

<今後の目標>
今後も以下の点に注力し、実施率のさらなる向上を目指します:
①抗菌薬使用前の培養検査の重要性に関する継続的な教育
②電子カルテシステムを活用した培養オーダーの促進
③ASPチームによる介入の強化

適切な細菌培養検査の実施は、耐性菌の発生を抑制し、より効果的な感染症治療につながります。
当院は今後も継続的にこの指標をモニタリングし、感染症診療の質向上に努めてまいります。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
27925
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
37
転倒・転落発生率 1.32
<転倒・転落発生率>
当院では、入院患者さまが安心して療養生活を送れるよう、
安全管理体制の重要な指標として「転倒・転落発生率」を監視しています。

<指標の意義>
入院中の環境変化や疾患による身体機能の低下などにより、患者さまは転倒・転落しやすい状態にあります。
転倒・転落は、骨折や頭部外傷などの傷害につながるだけでなく、患者さまに精神的な苦痛を与え、入院生活の
長期化やADL(日常生活動作)低下の要因となる可能性があります。

<当院の取り組み>
当院では、すべての入院患者さまを対象に以下の取り組みを行っています:
①入院時の転倒・転落危険度の評価とリスクに応じたケアの提供
②多職種(医師、看護師、薬剤師、リハビリスタッフ等)によるカンファレンスと情報共有
③療養環境の整備(ベッド周辺の整理整頓、適切な履物の選択など)
④職員向けの定期的な安全管理研修の実施

<今後の目標>
今後も以下の点に注力し、転倒・転落発生率のさらなる低減を目指します。
①転倒・転落事例の分析と、具体的な再発防止策の徹底
②患者さん・ご家族への転倒・転落防止に関する説明と協力依頼の強化
③ヒヤリ・ハット事例の収集と分析を通じた予防策の検討

安全な療養環境の提供は、医療の質の基本です。当院は今後も継続的にこの指標をモニタリングし、
全職員一丸となって転倒・転落防止対策の向上に努めてまいります。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
27925
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
2
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
0.07
<転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率>
当院では、すべての転倒・転落の予防に努めるとともに、特に患者さんに大きな影響を及ぼす可能性のある
傷害(インシデント影響度分類レベル3b以上)の発生率を、医療安全における最重要指標の一つとして
注視しています。

<指標の意義>
転倒・転落の中でも、骨折や頭部外傷など治療を要する傷害(レベル3b以上)に至った事例は、
患者さんの身体的・精神的負担が極めて大きく、その後の回復過程や退院後の生活の質(QOL)に深刻な影響を与えます。
これらの重篤な事象を未然に防ぐことは、安全な医療を提供する上で不可欠です。

<当院の取り組み>
①重篤な傷害の発生を予防するため、一般的な転倒対策に加えて、特に以下の取り組みを強化しています。
②転倒転落ハイリスク患者(骨粗鬆症、抗凝固薬内服中など)の特定と、重点的な予防策の実施
③衝撃緩和マットの設置や低床ベッドの活用など、重篤な傷害に至らないための環境整備
④転倒・転落発生時の迅速な報告体制と、医師による早期の診察・評価プロトコルの徹底

<今後の目標>
今後、重篤な転倒・転落事例の発生「ゼロ」を目指し、以下の点に注力します。
①発生したレベル3b以上の事例について、根本原因分析(RCA)を行い、システムレベルでの改善策を講じる
②医療安全管理委員会で全事例を詳細にレビューし、得られた教訓を全部署へフィードバックする
③重篤な転倒につながる危険行動や環境要因に関する職員教育をさらに強化する

一件でも重篤な転倒・転落による傷害を減らすことが、我々の使命です。患者さまの生命と健康を守るため、
今後もこの指標を厳格に管理し、組織全体で安全文化の醸成に取り組んでまいります。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
599
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
599
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
100
<手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率>
当院では、手術部位感染(SSI)を予防し、手術を受けられる患者さんの安全を確保するため、
「手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率」を重要なクリニカルインディケーターとして設定しています。

<指標の意義>
手術部位感染(SSI)は、術後の合併症の中で最も頻度の高いものの一つです。
予防的抗菌薬は、手術の切開時に血中および組織内で最も効果的な濃度に達している必要があります。
そのため、手術開始前の適切なタイミング(1時間以内)での投与開始が、感染予防において極めて重要となります。

<当院の取り組みと評価>
当院では、安全で質の高い手術を提供するため、以下の取り組みを徹底しています。
①手術前の抗菌薬投与に関する院内プロトコルの標準化
②手術安全チェックリストを用いた、執刀直前の抗菌薬投与の最終確認(タイムアウト)の実施
③医師、麻酔科医、看護師など、手術チーム内での連携と声出し確認の徹底

これらの取り組みにより、対象となるすべての手術において100%の実施率を達成・維持しております。

<今後の目標>
この100%という結果は、スタッフ一人ひとりが安全手順を遵守した成果であると考えております。
今後もこの高い水準を継続することが、患者さんが安心して手術を受けられる体制の基盤です。
引き続き、プロトコルの遵守状況を監視し、システムの形骸化を防ぐことで、安全な手術の提供に努めてまいります。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
26630
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
2
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
0.01
<d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率>
当院では、入院中の患者さんの苦痛を予防し、療養生活の質(QOL)を維持するため、
「d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率」を看護ケアの質を測る重要な指標として位置づけています。

<指標の意義>
褥瘡(床ずれ)は、患者さんに大きな苦痛を与えるだけでなく、感染症の原因となり治療が長期化する可能性があります。
特に、皮膚の損傷が真皮にまで及ぶ「d2」以上の褥瘡は、治癒に時間を要し、患者さんのQOLを著しく低下させます。
入院中に新たな褥瘡を発生させないことは、看護ケアの基本であり、その質を示す重要な証です。

<当院の取り組み>
当院では、褥瘡発生のハイリスクとなる患者さんを早期に把握し、組織的に予防ケアを実践しています。
①入院時すべての患者さんに対する褥瘡発生リスクアセスメントの実施と、定期的な再評価
②リスク評価に基づいた、体位変換、体圧分散寝具の適切な使用、スキンケア、栄養管理などの計画的な予防ケアの実践
③褥瘡対策チーム(医師、皮膚・排泄ケア認定看護師、管理栄養士など)による定期的な回診と、病棟スタッフへの指導

<評価と今後の目標>
これらの取り組みの結果、d2以上の褥瘡発生率は極めて低い水準で推移しております。
これは、看護師をはじめとする多職種が連携し、個々の患者さんに合わせた丁寧なケアを実践した成果です。

今後も、褥瘡発生「ゼロ」を目指し、職員一人ひとりが褥瘡予防に関する知識と技術の向上に努め、
引き続き質の高い看護ケアの提供に努めてまいります。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
1423
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
276
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
19.4
<65歳以上の患者さんの入院早期の栄養アセスメント実施割合>
当院では、高齢の患者さんの治療効果を高め、早期回復を支援するために、栄養管理を治療の重要な基盤と位置づけています。
その一環として「65歳以上の患者さんの入院早期の栄養アセスメント実施割合」を指標とし、現状の課題把握と改善に取り組んでいます。

<指標の意義>

高齢の患者さんは、入院前から低栄養状態にあることも少なくありません。入院という環境の変化や疾患そのものにより、
さらに栄養状態が悪化するリスクが高まります。低栄養は、免疫力の低下、創傷治癒の遅延、転倒・転落リスクの増大などに
つながるため、入院後48時間以内に栄養状態を評価し、早期に適切な栄養介入を開始することが、円滑な治療と合併症予防に不可欠です。

<現状の課題>
現在の実施率は19.4%と低い水準にあり、すべての対象患者さんに対して早期の栄養アセスメントを実践できていないことが課題です。
主な原因として、入院時の多忙な業務の中で栄養評価の優先順位が下がってしまうことや、多職種間での連携体制が十分に構築
できていない点が挙げられます。

<今後の改善策>
この状況を改善するため、以下の取り組みを推進してまいります。
①システムの改善: 入院後48時間以内の栄養アセスメント実施を、電子カルテ上の必須項目として組み込み、実施漏れを防ぐ仕組みを構築します。
②役割分担の明確化: 入院時の初期スクリーニングを病棟看護師の標準業務とし、リスクのある患者さんを速やかに管理栄養士やNST(栄養サポートチーム)へつなぐ連携パスを強化します。
③職員への教育: 全職員を対象に、早期栄養介入の重要性に関する研修会を定期的に開催し、意識改革を図ります。

患者さん一人ひとりに最適な治療を提供するためには、適切な栄養管理が不可欠です。
当院は、この指標の改善を重要課題と捉え、組織全体で取り組み、次年度の大幅な実施率向上を目指してまいります。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
27925
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
1125
身体的拘束の実施率 4.03
<身体的拘束の実施率>
当院では、患者さんの尊厳と権利を尊重し、安全な医療環境を提供するため、「身体的拘束の実施率」を重要な
倫理的指標として厳格に管理しています。身体的拘束は、患者さんの安全確保のためにやむを得ず行われる最終手段であり、
その最小化は当院の最重要課題の一つです。

<指標の意義>
身体的拘束は、患者さんの人権を制限する行為であり、身体的・精神的に多大な苦痛を与える可能性があります。
また、不動による身体機能の低下や、せん妄の悪化など、さまざまな合併症のリスクを高めることも知られています。
この指標を監視することは、私たちが「やむを得ない」状況をいかに減らし、より質の高いケアを提供できているかを評価するために不可欠です。

<当院の取り組み>
身体的拘束の実施にあたっては、以下のプロセスを徹底し、その必要性を慎重に判断しています。
①厳格な適応基準: 生命や身体が危険に晒される可能性が著しく高く、他に代替する方法がない場合に限定して、医師の指示のもと実施しています。
②多職種カンファレンス: 拘束の開始・継続・中止については、医師、看護師などが参加するカンファレンスで定期的に検討しています。
③患者さん・ご家族への説明と同意: 拘束の必要性、方法、時間について丁寧に説明し、理解と同意を得るプロセスを重視しています。

<今後の改善策>
身体的拘束をゼロに近づける努力は、医療の質と倫理性を高める上で極めて重要です。今後、以下の取り組みをさらに強化してまいります。
①代替的介入方法の研修: せん妄の予防と早期対応、コミュニケーション技術など、拘束を回避するための具体的なケア技術に関する職員研修を強化します。
②事例検討会の実施: 身体的拘束を行った全事例について振り返りを行い、拘束以外の方法がなかったか、より早期に解除できなかったかを多職種で検討します。
③環境調整の推進: 患者さんが穏やかに過ごせる療養環境の整備(照明、騒音対策、分かりやすい表示など)をさらに推進します。

今後も、患者さん一人ひとりの尊厳を守るケアを最優先に考え、組織全体で身体的拘却のさらなる低減に取り組んでまいります。
更新履歴
2024年9月30日